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大島 真澄*; 山口 友理恵*; 浅井 雅人; 塚田 和明; 後藤 淳*; 伴場 滋*; Bi, C.*; 森本 隆夫*
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9-10), p.866 - 872, 2019/09
被引用回数:1 パーセンタイル:11.15(Nuclear Science & Technology)長寿命放射性核種35核種の定量のため、8MeV陽子ビームを用いた荷電粒子放射化分析法の分析感度について調査した。それらの核種に対する核反応断面積はALICE-91コードによって見積もり、核異性体生成比は近傍同位体の値からそれらのスピン・パリティの値を考慮して見積もった。その結果、提案する荷電粒子放射化分析法はCs, Pu, I, Sn, Mo, Pd, U, Cm, Npなどのいくつかの難測定長寿命核種に対して高い感度を示すことが判った。
鈴木 崇史; 伴場 滋*; 北村 敏勝; 甲 昭二*; 磯貝 啓介*; 天野 光
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 259(1), p.370 - 373, 2007/06
被引用回数:14 パーセンタイル:68.37(Instruments & Instrumentation)大型再処理工場が稼動するとIが環境中に放出される可能性があり、環境影響評価のためには精度の良い測定が重要である。そこで環境試料中のIを加速器質量分析法(AMS)と従来法である放射化分析法(NAA)の両方で測定し相互比較を行った。環境試料は北海道,岩手,秋田,兵庫,大分の5地点で土壌,海藻,原乳を採取した。土壌は表層(05cm)と深層(5-20cm)に分けた。土壌と海藻は燃焼法と陰イオン交換樹脂ディスクを用いて抽出した。原乳は陰イオン交換樹脂ディスクを用いると目詰まりを起こすため、陰イオン交換樹脂によるバッチ法とその溶媒抽出法の組合せで抽出した。抽出した溶液はAMSとNAA用にそれぞれAgIとPdIの化学形で沈殿させた。NAAによる測定結果はほとんど検出限界以下であったが、幾つかの土壌サンプルでIを検出できた。例えば、北海道の表層土壌ではAMSとNAAの測定結果はヨウ素同位体比(I/I)でそれぞれ(2.40.04)10, (2.40.26)10であった。これら原理の異なる方法での測定結果はよく一致しており、両測定方法は環境試料中のIを測定するのに有効な分析方法であることがわかった。またAMSは測定時間,感度,利便性の点で優れている。
齋藤 陽子
KURRI-KR-129, p.48 - 49, 2007/03
環境汚染の影響をよりよく理解するために、汚染物質の量及び分布を明らかにする環境モニタリングが必要である。大気浮遊じんは、放射性物質や大気汚染物質の直接の輸送媒体であるため、しばしばモニタリングの指標として使われている。それらは通常エアサンプラーによって捕集されるが、捕集の時期や場所が制限される。大気浮遊じんは、植物の葉表面に付着することが知られている。この現象に着目して、環境モニタリングのための指標として松葉表面付着物を利用することを検討した。原研東海研内の松林で採取した松葉を溶剤で洗浄し、表面付着物を回収した。また大気浮遊じんを松葉採取と同じ場所でエアサンプラーにより捕集した。それぞれの元素濃度は機器中性子放射化分析により測定した。松葉表面付着物中の元素濃度パターンは同時期に捕集した大気浮遊じんと一致し、大気浮遊じんは松葉表面付着物の主な成分であることがわかった。また、松葉内部組織に含まれる金属元素及びハロゲン元素の量は、松葉表面付着物に含まれる物より数十倍から数千倍多く、環境モニタリングを目的とした大気浮遊じんの指標としては、松葉表面付着物を用いるのが望ましい。
大島 真澄; 藤 暢輔; 木村 敦; 海老原 充*; 大浦 泰嗣*; 伊藤 泰男*; 澤幡 浩之*; 松尾 基之*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 271(2), p.317 - 321, 2007/02
被引用回数:11 パーセンタイル:61.1(Chemistry, Analytical)多重線検出法を中性子放射化分析と組合せることにより、従来の放射化分析より優れた感度と分解能が得られることを実証した。われわれは今回多重線検出法を即発線分析に適用するために、原子力機構(旧原研)研究炉JRR-3の冷中性子ガイドホールに新たなビームラインを設置した。これはビームシャッター,ビーム減衰器,多重線検出装置,試料交換機,ビームストッパーからなる。この分析のために最適化した高効率多重線検出装置を建設中であり、その性能をモンテカルロシミュレーションコードGEANT4.5.0で評価した。
宮本 ユタカ; 齋藤 陽子; 間柄 正明; 桜井 聡; 臼田 重和
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 271(1), p.83 - 88, 2007/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Analytical)大気浮遊じん試料を原研東海研の定点で3年間、捕集した。近年、所内で防砂林の伐採が行われた。そこで防砂林の伐採前後における大気浮遊じんの元素組成の変動を分析した。Sc/Na比-Cl/Na比のような元素濃度比の分布図から大半の試料が海塩粒子と土壌粒子の混合物から成ることがわかった。また、防砂林の伐採前後にそれぞれ捕集した大気浮遊じんの元素組成に違いがあることがわかった。
初川 雄一; 藤 暢輔; 大島 真澄; 木村 敦; Gharaie, M. H. M.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 271(1), p.43 - 45, 2007/01
被引用回数:3 パーセンタイル:25.51(Chemistry, Analytical)多重線検出法を中性子放射化分析と組合せた新たな微量元素分析法を環境,地質試料に適応した。19台のGe検出器からなるGEMINI-IIを用いて多重線放射化分析を行い環境試料中のヨウ素-129については安定ヨウ素と比で10-13及び地質試料中のイリジウムにおいては10pptの検出限界を有する高感度分析であることを示した。
松江 秀明; 丹治 輝; 宮田 賢; 安田 良; 松林 政仁; 中西 友子
第5回放射線による非破壊評価シンポジウム講演論文集, p.45 - 48, 2005/02
中性子即発線分析(PGA)あるいは中性子放射化分析(NAA)など中性子を利用する分析法は、非破壊多元素同時定量の特徴を持っていることから、各種材料中不純物の分析など産業界の幅広い分野において中性子利用を図るうえで重要である。本講演では、原研におけるPGA・NAAの現状,現在われわれが研究を進めている比較標準試料を必要としないPGAとNAAの定量法であるk法の開発研究とその応用の話題を中心に紹介する。
松林 政仁; 安田 良; 丹治 輝; 宮田 賢; 松江 秀明; 中西 友子
第5回放射線による非破壊評価シンポジウム講演論文集, p.35 - 36, 2005/02
茨城県では平成16年に中性子の産業利用を促進するための中性子利用促進研究会が立ち上げられた。その中の個別研究会として「非破壊分析・可視化研究会」があり、中性子を利用した即発線分析法による非破壊微量分析及び中性子ラジオグラフィによる非破壊可視化をテーマに地域企業を対象として講義,講演などを通じた啓蒙活動並びにモデル実験に取り組んでいる。本発表ではこれまでの研究会の活動を紹介する。
笹島 文雄
Isotope News, (602), p.26 - 27, 2004/06
平成16年1月1216日の期間、文部科学省の主催による2003年度FNCA研究炉利用ワークショップがベトナムダラトにて開催された。アジア原子力協力フォーラム(FNCA)は、日本が主導する原子力平和利用協力の枠組みで、日本,オーストラリア,中国,インドネシア,韓国,マレーシア,フィリピン,タイ,ベトナムの9カ国が参加して、研究炉利用,農業利用,医学利用,原子力広報などの8つの分野で活動している。このプロジェクトの一つである研究炉利用ワークショップの中性子放射化分析プロジェクトに参加し、その会議の目的と内容について紹介する。本原稿は、「Isotope News」誌の「モニタリングポスト」欄において、平成16年6月号(5月31日発行予定)に掲載される予定である。
笹島 文雄
放射化分析ハンドブック, p.108 - 118, 2004/03
原研研究炉(JRR-3, JRR-4)において中性子放射化分析を利用しようとする際に必要な利用手続き,研究炉の概要,照射設備,キャプセル形状,放射線計測機器,実験室及び取扱い上の注意事項などの詳細な情報について紹介した。本原稿は、放射化分析手法,放射線計測,分析例などとともに「放射化分析ハンドブック」の一部に掲載され、中性子放射化分析の利用者のためのハンドブックとして放射化分析研究会より公開される。
米澤 仲四郎; 松江 秀明
ぶんせき, 2004(2), p.75 - 82, 2004/02
比較標準試料を用いることなく、1または数個の中性子束モニターによって多元素を定量する法が中性子放射化分析の定量法として注目されている。法は中性子束モニターと元素の放射化に関与する核データを複合した係数を使用して多元素を定量する方法で、中性子照射場と線検出器を校正することにより4%の正確さで定量することができる。本稿では、法の原理,分析方法、そして現状を紹介する。
宮本 ユタカ
放射化分析ハンドブック, 7 Pages, 2004/00
中性子放射化分析において定量元素と熱中性子の核反応によって生成する測定核種は、それ以外に共存する他の元素の異なる核反応によっても生じる場合があり、それが系統誤差の原因になる。その影響の大きさは試料の元素組成だけでなく、原子炉施設や照射場によっても異なる。京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)で放射化分析によく用いられる照射設備について、妨害核反応が定量結果に与える影響の大きさを岩石及び植物標準試料の照射実験から定量的に評価した結果を示す。
上野 隆; 天野 光
JAERI-Data/Code 2003-004, 49 Pages, 2003/03
本報告書は、東海村における放射性核種(1993年9月-2001年3月)及び安定元素(1993年9月-1995年10月)の降下量のデータをまとめたものである。大気から地表面への放射性核種及び安定元素の移行を評価するため、降下物試料を1993年9月-2001年3月に原研構内(東海村)で高度別(地表面からの距離を1.5m,4m,10m)に設置した水盤にて月毎に採取した。採取された水盤試料は、蒸発濃縮による前処理を行い、得られた残渣試料を井戸型のGe半導体検出器による線スペクトルメトリーにて7Be,40K,137Cs及び210Pbを定量した。その結果、降下物重量及びこれらの放射性核種の降下量には、春にピークのある明瞭な季節変化があることがわかった。降下量の相関解析により、これらの放射性核種は2つのグループに分けられることが示された。乾燥試料の一部が安定元素の放射化分析のためにJRR-4において中性子照射され、安定元素の降下量が評価された。
米澤 仲四郎; 松江 秀明; 湯川 雅枝*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 255(1), p.105 - 109, 2003/01
被引用回数:5 パーセンタイル:36.81(Chemistry, Analytical)放射線防護,栄養学及び生物の代謝研究等において重要な、微量ヨウ素を正確に分析するため、熱外中性子放射化とコンプトンサプレッション線スペクトロメトリーによる非破壊定量法の検討を行った。分析は、試料をJRR-4の気送管照射設備で熱外中性子照射し、直ちにGe-BGO検出器を使用したコンプトンサプレッション型線スペクトロメーターによって線を測定する方法によって行った。熱外中性子照射により、微量ヨウ素の定量に妨害するClとNaの生成量とそのコンプトンバックグラウンド計数値が大幅に抑制され、ヨウ素の検出限界は通常の熱中性子放射化と線測定では2600ppbであるのに対し、熱外中性子放射化により450ppb、さらにコンプトンサプレッション測定により14ppbまで改善することができた。確立した分析法により、甲状腺,食事試料,ミルク粉末,牛の筋肉等の各種生体試料中の数十ppb以上のヨウ素を定量した。
藤 暢輔; 初川 雄一; 大島 真澄; 篠原 伸夫; 早川 岳人; 櫛田 浩平; 上野 隆
Health Physics, 83(1), p.110 - 113, 2002/07
被引用回数:10 パーセンタイル:54.86(Environmental Sciences)Iは半減期が1.610yと非常に長く、一旦環境中に放出されると長い間環境にとどまり、人間に影響を与えるレベルに到達する恐れがあることで、その増加が懸念されている。大洗海岸より採取したカジメからヨウ素をPbIとして抽出し、多重線検出法を用いてI/Iの同位体比を測定した。その結果、その同位体比はという低い値であった。
宮本 ユタカ
放射化分析, (14), p.16 - 22, 2002/05
京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)における放射化分析について、経験的な情報も交えながら、照射,測定などの実験方法,解析方法に主点を置き、標準岩石試料や植物試料の多元素同時元素分析や正確な分析を行うために必要な妨害核反応の影響について分析例を紹介する。
大島 真澄; 藤 暢輔; 初川 雄一; 早川 岳人; 篠原 伸夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(4), p.292 - 294, 2002/04
被引用回数:18 パーセンタイル:73.21(Nuclear Science & Technology)多重線検出法と中性子放射化分析を組合せて、新たな微量元素定量法を開発した。この定量法はpptまでの高感度と、49種までの多元素同時定量が可能である。招待講演において、この方法の原理と実証,さらに標準岩石試料,アレンデ隕石,環境中放射能I,地層試料などへの適用例を紹介する。
初川 雄一; 大島 真澄; 早川 岳人; 藤 暢輔; 篠原 伸夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 482(1-2), p.328 - 333, 2002/04
被引用回数:25 パーセンタイル:81.52(Instruments & Instrumentation)核構造研究において顕著な成果を収めているゲルマニウム検出器系(クリスタルボール)を分析化学、特に中性子放射化分析法に応用して岩石試料中の微量元素の検出を試みた。一般に地質学的試料の中性子放射化分析では主要成分のナトリウムやマンガンからの放射線が強く微量成分の検出には化学分離などが必要であるが、クリスタルボールによって得られた2次元スペクトルにより非破壊で微量成分の検出に成功した。原研原子炉JRR-4気送管で標準岩石試料約100mgを10分間照射した後にゲルマニウム検出器系GEMINIを用いて線測定を行った。得られた2次元マトリクスから-のコインシデンスを取り出し解析を行った結果、標準岩石試料JB-1a及びJP-1中に合計27元素を検出することができた。検出された元素の中ではJP-1中のEuがもっとも微量な成分でありその含有量は4ppbであった。
大洗研究所材料試験炉部; 東海研究所研究炉部; 東海研究所ホット試験室
JAERI-Conf 2001-018, 109 Pages, 2002/01
原研では、所有する研究施設を所内のみでなく所外の研究者にも利用できるよう開放している。種々の利用分野のうち、JMTR,JRR-3,JRR-4の炉内中性子を利用した照射試験や中性子放射化分析,及びホットラボ等での照射後試験については、平成11年度より設置された原研施設利用協議会の下の「炉内中性子照射専門部会」において、利用方法,利用技術,施設整備等の検討を行うこととなった。そこで、本専門部会の活動の一環として、2000年3月9日に日本原子力研究所・東海研究所(先端交流棟大会議室)において「中性子照射利用セミナー」を開催した。発表は各研究分野からのトピックスとして、軽水炉材料,核融合材料,高温材料等の最近の炉内照射試験,及び放射化分析,照射後試験についての最近の研究が紹介された。本セミナーでは研究者相互の情報交換と同時に、施設利用技術に関しても利用者の多くの意見が聞かれたことは原研での技術開発に対するフィードバックの点で極めて有意義であった。本報告書は、セミナーにおける各発表概要と使用されたOHPスライドのコピーを収録したものである。
藤 暢輔; 大島 真澄; 初川 雄一; 早川 岳人; 篠原 伸夫
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 250(2), p.373 - 376, 2001/11
被引用回数:17 パーセンタイル:74.85(Chemistry, Analytical)一般的に放射化分析では、元素の定量を行う際にあらかじめ定量されている標準試料との線強度の比較を行うことによって、定量を行う。この相対的な定量(比較法)では、絶対定量の際に必要であるさまざまな核データや検出器の効率などを用いないため、それらに起因する誤差が大幅に低減され、精度の高い定量を行える。これまでは単元素に対して比較法による定量が行われてきた。多重線を用いた微量元素分析では、化学分離を行うことなく同時に多種の核種を定量することが可能である。従来の1次元スペクトルを用いた放射化分析では、多くの場合、多種の核種を同時に定量することが困難である。そのため、多元素同時に扱った比較法はこれまで行われていない。多重線を用いた微量分析において、精度の高い定量を行うために多元素同時に比較法を適用した。23種類の元素を含む標準試料を用意して比較法による定量を行った結果、多重線を用いた微量分析においても比較法が適用可能であり、また有効であることを示した。さらにこの方法を用いて同時に50元素まで定量が可能であることを示唆した。